最新曲「いらない」のミュージックビデオは、これまでもサカナクションの作品を象徴してきた映像表現の豊かさが、さらに深化しているように感じられました。特に、山口一郎氏の持つ内面的な葛藤や、それを乗り越えるのではなく「乗りこなす」という独自の哲学が、二人羽織や異形のダンスといった視覚的なメタファーを通して見事に具現化されています。田中監督とのコラボレーションが生み出す、音楽と映像が一体となったストーリーテリングは毎回圧巻です。一般的なMVの枠を超え、アート作品としての完成度を追求する彼らの姿勢が、楽曲のメッセージをより多層的に伝えているのではないでしょうか。前作「モス」や「バッハの旋律を夜に聴いたせいです」からの系譜を感じさせつつ、常に新たな挑戦を続けている点に、アーティストとしての真摯な進化を見ることができます。